シルクスクリーン印刷をUVプリンターに置き換えて、短納期化&コスト削減に成功
有限会社西日本産業 | 福岡県

- 使用製品:
- フラットベッドUVプリンター LEF2-300
- アプリケーション:
- 工業部品/製品への加飾・印刷
1983年創業の木材特殊加工会社。ひな人形や五月人形の飾り台、屏風の企画・製造や破魔弓、羽子板飾りの木枠製造を手掛ける老舗です。NCルーターや枠組み加工、研磨、シルク印刷などを駆使した多様な木材加工を得意としています。

生産効率化担当 井上 直樹 様
小ロット化、小型化によってコストが合わなくなってきた

飾り台や飾り屏風の製作工程を一貫生産できるのが強み
当社はひな人形や五月人形に使われる飾り台や飾り屏風、提灯の台、正月の羽子板用台などの製造を手掛けています。飾り台や飾り屏風の製作工程は、企画、木の加工、塗装、シルクスクリーン印刷やスプレーガンによる絵付け、組み立てがあり、これらを一貫生産できるのが当社の強みです。
一昔前まで、これらの商品は1種類につき100~200セットを製造し、シルクスクリーン印刷用の版も5~6版使うのが当たり前でした。しかし近年ではひな人形や五月人形が小型化し、注文数も1種類10~20セットと小ロット化しています。
シルクスクリーンの製版は外注していますが、小ロット注文に5~6版使っていてはコストが合いません。デザイン製作も含めて版を外注していたため、納期が約半月かかることも問題でした。
時間と労力とコストがかかるシルクスクリーン印刷をUVに

LEF2-300でプリントした飾り屏風
飾り台や飾り屏風の新作を出すには実物サンプルが必要で、毎年春と夏の展示会に向けて見本を約100種類作るため、多大な時間と労力、コストがかかります。毎年の新作が積もり積もって、今ではシルクスクリーン版が1,000種類以上あります。
過去のデザインに注文が入れば、その版を探してインクを調色して……という手間がかかり、管理するにも一苦労です。最近では海外からの参入も増え、営業力強化のために製造の人手を抑えたいという考えもありました。
これらの理由から、シルクスクリーン印刷をデジタル化する必要があると判断し、多種多様な素材にプリントできるUVプリンターを探し始めました。
他メーカーの機種も検討しましたが、最終的に選んだのはLEF2-300です。決め手は、使い勝手がいいこと、インクがオールマイティーで、多種多様な素材にプリントできること、サイズ感が丁度よかったこと、メーカーがローランド ディー.ジー.(株)で安心感が大きかったことです。何より、厚盛り印刷の品質の高さに感動しました。
作業面だけでなく、金額面、人的コストの削減に成功

LEF2-300で作業工程を大幅に簡素化できるように
2020年のLEF2-300導入から約2年で、徐々にシルクスクリーン印刷からUVプリントへの置き換えが進んでいます。LEF2-300なら版を作る必要がなく、色違いやサイズ違いはデータの一部を変えたり、拡大縮小するだけで簡単に対応できます。シルクスクリーン版の洗浄や製品の乾燥時間も不要で、工程を大幅に簡素化できるようになりました。
作業面だけでなく、納期やコストの削減にも成功しました。実は、新作の実物サンプル作り以外にも1年中サンプル製作の注文があります。これをLEF2-300でプリントすることで、版の外注にかかるコストと時間が圧縮できました。
デザインの変更などデータを修正するだけなので、お客様からの要望にも気軽に応えられます。一貫生産が得意な当社の強みを活かせば、今なら新作が3日あれば完成させることができます。シルクスクリーン印刷には職人が2人が必要ですが、LEF2-300は1人いれば十分です。印刷中に他の仕事ができるのもプラスアルファの効率化に繋がっています。職人は時間に余裕ができたことで、違う作業に取り組みやすくなりました。
職人から高評価「これまでと遜色ない仕上がり」

厚盛り印刷で伝統工芸品のような温かみを出せるように、日々研究を続けている
LEF2-300の印刷品質にも満足しています。製作工程の「塗装」では下地として木に漆塗り風印刷や箔を貼ります。これらにLEF2-300で印刷したところ、プリント品質がとても高く、従来のシルクスクリーン印刷に比べてキレイすぎるほどの仕上がりだったため、わざとデザインにノイズを入れているほどです。
下地を活かすために白インクの濃度を調整したり、グロスインクでの厚盛り印刷では、他の部分を薄くして凹凸を強調する手法を試したりと、伝統工芸品のような温かみを出せるように、日々研究を続けています。その結果、社内の職人から「これまでと遜色ない仕上がり」と評価されました。LEF2-300は手軽に試行錯誤できたり、職人の感覚に頼らない印刷ができる点も魅力です。
LEF2-300が本格稼働開始、「新デザインでヒット商品誕生」

新デザインを気軽に挑戦できるからこそ生まれたヒット商品たち
2022年にはLEF2-300が本格稼働し始め、展示会用の実物サンプル約80種類のうち、約40種類をLEF2-300で作りました。UVプリンターだからこそ気軽に挑戦できた新デザインを提案し、そのいくつかがヒットして、すでに約1,000個の注文が入っています。
当社が得意とする木材加工にUVプリントを加えたことで、他業界からの問い合わせも入ってくるようになりました。LEF2-300なら1個からでも商品が作れるので、他の業界の仕事を積極的に受けたり、小ロット製造に対応したECサイトの展開なども考えています。