Japan Home Show & Building Show 2025出展レポート

乃村工藝社や芦沢啓治建築設計事務所のセラミックス3D造形事例を展示:Japan Home Show & Building Show 2025出展レポート

2025年11月19日~21日に東京ビッグサイトにて開催された日本最大級の建築総合展示会「Japan Home Show & Building Show 2025」に初出展しました。
当社ブースでは、株式会社乃村工藝社のタイルや芦沢啓治建築設計事務所のランプ試作モデルなど、セラミックパウダー3Dプリンターの造形物と、凸凹 / 2.5Dサーフェスプリンターによるアートパネルを展示しました。

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▼ セラミックパウダー3Dプリンターとは?

▼ 乃村工藝社:鶴と亀

▼ 乃村工藝社:広州VIPラウンジファサードサンプル

▼ 芦沢啓治建築設計事務所:ペンダントライト(KURAGE)プロトタイプ

▼ みらいのたね賞を受賞した凸凹/2.5Dサーフェスプリンターも展示

▼ 3Dセラミックス造形サービス&DIMENSE出力相談実施中!

セラミックパウダー3Dプリンターとは?

セラミックパウダー3Dプリンター PB-600/400

セラミックパウダー3Dプリンター PB-600/400は、プリントヘッドから結合剤(バインダー)を吐出し、専用のセラミックの粉末材料を一層ずつ固めながら積層していくことで、立体造形物を作り出すバインダージェット方式の3Dプリンターです。

3D CADや3D CGソフトウェアで制作した造形物のデータをSTL形式でエクスポートすれば、あとは標準付属のソフトウェアを使って簡単に出力できるため、限られた職人にしか表現できない難しい形状や、手作業や切削加工機ではできない複雑な造形物を、誰もが、手軽に造形することが可能です。

セラミックパウダー3Dプリンター PB-600/400を使用した造形物

また、焼成の際の収縮率が1%以下という専用のセラミックパウダーを使用することで、造形物は滑らかな表面の仕上がりと、高い寸法精度を誇り、今回出展された造形物も、これらの特長がふんだんに活かされたものとなっています。

乃村工藝社:鶴と亀

吉祥文様の鶴と亀をモチーフにしたタイル造作と、ラウンジファサードのサンプル

インテリア・内装材としての3Dセラミックプリントの可能性を追求し、当社と共同で取り組みを重ねている空間の総合プロデュース企業・株式会社乃村工藝社。
今回は、同社の社内研究開発組織である未来創造研究所 NOMLABで活動する吉田敬介さんによってデザインされた、吉祥文様の鶴と亀をモチーフにしたタイル造作と、ラウンジファサードのサンプルを提供いただきました。

鶴 ― 鶴の体が持つ曲線をモチーフにデザイン

0.5mm深の、それぞれ異った曲率のラインが生み出す滑らかな造形物が羽のように連なることで、見る角度によって形を変える陰影を生み出し目を引き付けます。

鶴 ― 鶴の体が持つ曲線をモチーフにデザイン
亀 ― 亀の隆起する背中の稜線をモチーフにデザイン

高さのある立体的な断面から生じる陰影豊かな平行四辺形の集合は、一見無秩序でありながら、六角形状の安定感も同居する不思議な魅力にあふれています。

亀 ― 亀の隆起する背中の稜線をモチーフにデザイン

周辺のブースにタイル関連の出展があったこともあり、ブースに訪れた皆様は立体的なタイルに興味津々。「こういうパターンをカタログやサンプルで選ぶことができたらいいのに……」といった声も聞かれました。

乃村工藝社:広州VIPラウンジファサードサンプル

広州VIPラウンジファサードサンプル

「Neo Chinese Pattern」を標榜する本サンプルは、実際に中国広州にあるイノベーションラウンジに設けられたファサードの一部を再現したもので、中国の文様文化と3Dプリントの技術が華麗に融合した傑作です。

片手で持てるほどの大きさのパーツ一つ一つには、独自のデザインルールに基づくアルゴリズムによって生成された幾何学模様が入っており、職人による施釉によってそれぞれが表情のある深い緑色の輝きを見せています。

イノベーションラウンジに設けられたファサードの一部
独自のデザインルールに基づくアルゴリズムによって生成された幾何学模様
収縮率の小さなセラミックパウダーによる寸法精度を活かし「壁」としてくみ上げられたサンプル

収縮率の小さなセラミックパウダーによる寸法精度を活かし「壁」としてくみ上げられたこれらのサンプルは、デジタルの精密さと職人の技術が組み合わさった、未だかつてない工藝品の貫禄を醸し出しています。

サンプルを見た来場者様からは、一つ一つのパーツの文様が異なることや、それらを組み上げて一つの造作物を作っていること、そして実際に施工事例として存在していることに対して驚きと称賛の声をいただきました。

芦沢啓治建築設計事務所:ペンダントライト(KURAGE)プロトタイプ

建築、インテリアのみならず家具や照明など、空間のトータルデザインを手掛ける芦沢啓治建築設計事務所からは、PB-600を用いたプロダクトデザイン事例として、ペンダントライトを展示しました。

ペンダントライト(KURAGE)プロトタイプ

※本プロダクトの詳細についてはインテリア・建築の専門誌「コンフォルト」2025年10月号に掲載されています。

「KURAGE」の仮称に違わぬ、ランプシェードのなだらかなカーブも高い精度で再現されています。

試作の過程では一般的な陶器同様に施釉を施す方法も試されましたが、芦沢さんは素焼きの状態における、柔らかな光の反射に着目。マットでざらついた素焼きの質感を生かしたプロトタイプができあがりました。

本展では、実際に光源をセットしたペンダントライトも展示しました。

照明器具を扱う出展社の一人は、「スリットから漏れる優しい光と下向きの直接光の調和がたまらない!」と絶賛。
「新築の家に一つ欲しいのだけど、販売はしていないんですか?」といった問い合わせもありました。

ペンダントライト(KURAGE)プロトタイプ

みらいのたね賞を受賞した凸凹 / 2.5Dサーフェスプリンターも展示

みらいのたね賞を受賞した凸凹 / 2.5Dサーフェスプリンター DIMENSE DA-640

今回はパウダー3Dプリンターだけでなく、凹凸表現ができるインクジェットプリンターDIMENSE DA-640による出力物も展示しました。
DIMENSEは熱を加えると発泡する性質を持った専用メディアと、発泡をコントロールするストラクチャーインク、そして安全性の高い水性樹脂のCMYKインクを使用することで、 フルカラーのエンボス表現が可能なソリューションです。

DIMENSE DA-640の凹凸表現
DIMENSE DA-640の凹凸表現

本製品は、凹凸表現が生む質感が高く評価され、優れた建築製品を表彰する「みらいのたね賞」にも選出されたこともあり、会期中は大きな注目を集めていました。

ブース前面のパネルのデザインは乃村工藝社のNOMLABによるもので、AI生成イメージに凹凸を加え岩肌や木材、氷などの質感が表現された、デジタルプリンティングによる多様なデザインバリエーションの可能性を感じさせるものとなっています。

ブース前面のパネルデザイン

出力物の上から市販の塗料によるペイントができるメディアもあり、デジタルプリントとアナログペイントを組み合わせた独特の風合いを表現することもできます。

出力物の上から市販の塗料によるペイントができるメディア
テキスタイルタイプのメディア

また、テキスタイルタイプのメディアもラインアップ。クッションやタペストリーなど、出力後に縫製をすることで唯一無二のグラフィックをアートパネルやインテリアグッズに展開することが可能です。

3Dセラミックス造形サービス&DIMENSE出力相談受付中!

本展示会で大きな注目を集めたパウダー3Dプリンターによる造形物を見て、自社でもインテリア・内装や、プロダクトデザインに取り入れてみたい!と思った方は多いのではないでしょうか?

当社では、PBシリーズを用いた造形サービスを実施中です。
セラミック造形物に興味のある方、これまでとは違った造形物をイメージされているデザイナーの方、ぜひこの機会にお申込みください!

パウダー3Dプリンター 造形サービス

また、DIMENSEの出力についてもご相談を承っております。
内装ディスプレイや、展示会のブース壁面に使ってみたいなど、ご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、以下お問い合わせ窓口より、お気軽にお問い合わせください!