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河西啓介(編集者) × SLOW(デザイン事務所) ハクキンカイロ 「所有欲を満たす、質感にこだわったグッズを」

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PRODUCT MAKING ~イメージをカタチに~

 ハクキンカイロにオリジナル彫刻を彫るというチャレンジに使用された機材は、Roland DGの3D彫刻機「EGX-350」。ハクキンカイロのメッキ部分を削り取って金属の素地を出し、メッキとのコントラストを強調して高級感を演出したいという理由から、より深く彫れる3D彫刻機が選定された。

オペレーションを行うのはアトリエハンズの我妻さん。EGX-350の経験は十分で、メタルプレートやジッポーライターへの彫刻など多数の作品を製作している。ただ、ハクキンカイロに彫刻を施すのははじめてとのこと。実際にデザイン案とハクキンカイロの現物を見て、「これは一筋縄ではいかないな」と我妻さん。一抹の不安を抱えながらも、必ずすばらしい作品に仕上げてみせると、彼の職人魂に火がついた。

治具の製作-その1-

まず問題になったのが、彫刻機にハクキンカイロを固定する方法だ。ハクキンカイロは表面が微妙に湾曲しているため、そのまま設置すると不安定なのだ。またEGX-350は、ある程度の圧力を加えて切削するため、上下左右を固定しただけでは施工時にぐらついてしまう。そのため、がっちり固定するための治具を製作する必要があった。我妻さんは構想1日、製作1日という時間をかけて、アクリルでオリジナル治具を製作。これで彫刻機への固定は問題なくなった。

治具の製作-その2-

実際に試作してみると、新たな問題が発生した。表面が湾曲しているがゆえに、彫りの深さが安定せず、また彫刻刃が折れやすくなってしまう。刃先を曲面の高い位置に合わせると左右の低い位置が彫れず、低い位置には先を合わせると高い位置で負荷がかかりすぎてしまい刃が折れてしまう。そこで我妻さんは刃先の横にガイドをつけることで、彫りの深さを一定にし、なおかつ刃先の折れを最小限に抑える方法を考えた。やや力業に近いものがあるが、このガイドによって安定した彫刻が可能になった。

デザイン案を微調整

依頼者のSLOWが作成したIllustratorのデータを、専用ドライバソフトウェア「Roland EngraveStudio」で開く。切削方法などを設定して、最後はプレビューでチェック。デザインモチーフの羽の部分の切削間隔が極端に狭く、実際に切削するときれいに表現できなくなる可能性があった。そのため、そのデータ部分を微調整することにした。問題発生の判断予測は、いくら機械が高性能になったとはいえ熟練したオペレーターの経験と勘が必要なのだ。

切削開始~完成!

準備が整った後は、製作した治具にハクキンカイロをセットし、Roland EngraveStudioからプリントキューを出せばOKだ。彫刻刃が勢いよく回転し、ハクキンカイロにイラストを彫り込んでいく。ちなみに今回使用した彫刻刃はダイヤ刃。数種類の彫刻刃を使って試作をした後、最適なものを選んだ。刃によっても仕上がりは大きく違ってくる。
彫刻開始から50分ほどで、オリジナル彫刻を施したハクキンカイロが完成した。

はじめて挑むアイテム「ハクキンカイロ」を前に、「EGX-350」の特性をいかに活かすか試行錯誤する我妻さん

精細なイラストを正確に彫刻するには、カイロをしっかりと固定する治具が必要だった

彫刻刃にもいくつか種類がある。写真上部はダイヤモンド刃、下部はカッター刃。
刃先の角度を変えることで仕上がりも変化する

ハクキンカイロへの彫刻は初挑戦だったため、何度か試作を試みた

EGX-350
EGX-350 操作方法の詳細はこちら

App No#01 ハクキンカイロ

メタルでクールな質感が所有欲を満たしてくれるハクキンカイロ。彫刻を施すことで、その質感を損なうことなく、内側の金属素材と表面のメッキのコントラストがより高級感を演出するようになった。もちろんハクキンカイロとしての機能性が劣ることはまったくない。
モノにこだわるユーザーにとって、このオリジナルデザインのハクキンカイロは、宝物になることは間違いないはずだ。

完成品表面パターン
完成品裏面パターン
BUSINESS MAKING ~一品モノをビジネスに~

 これはものすごく良いですね! 最初の目論見どおり、メッキ部分のメタル調と素材のコントラストがすばらしく、所有欲を満たしてくれます。バイク仲間も欲しくなると思いますよ。裏に彫ってある名前も、一品モノというプレミアム感が演出されていてイイですね。自分なりのコーディネートができるという点は、趣味のモノとしてはとても喜ばれるのではないでしょうか。
すでに大量生産の時代は終わりを告げようとしていますし、こうしたオリジナルグッズを一品から作るというビジネスはもっと注目されると思います。雑誌の読者プレゼントとしても使ってみたいですね。もちろん、読者名も入れて!

企画振り返り、ビジネスの可能性

SLOW inc. 御堂さん 金属に描画する方法はいろいろありますが、やっぱり彫刻機にして正解でした。罫描きのタイプに比べて圧倒的な質感を表現できたと思います。精度についても思った以上の出来栄えで、まったく文句なしです。結婚式や特別な記念日に渡すギフトのアイテムなどに利用するのもいいかもしれませんね。それと、なにより使ってみて大きな利点と感じたのは、こうした彫刻でも自由にデザインでき、好きなフォントが使えるということです。デザイナーとしても、2Dとして考えたものが3Dになって仕上がることには大きな感動を覚えました。複雑なモノでなければ「EGX-350」自体の扱いはとても簡単なので、今後もアトリエハンズのような業者さんと組んで、一品モノのメタル系の商品を企画することでビジネスチャンスを広げていきたいですね。

ハクキンカイロへの彫刻がはじめての経験だったこともあり、製作自体は難しかったが、その仕上がりには満足した様子のお二人。
プレミアムな一点物グッズを手軽に製作できることがわかり、いろいろなアイデアも飛び出した。「EGX-350」は、使い方次第で新たなビジネスを創出できるポテンシャルを十分秘めていると言えそうだ。

EGX-350 DESKTOP ENGRAVER

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多彩なグッズ製作を実現する好調のスタンダードモデル

今回、河西さんに満足いただけたハクキンカイロを製作したのはローランドDG社の「EGX-350」。金属への彫刻が今回の事例の課題でしたが、本来はプラスチックやアクリルなどの樹脂、さらには木材などまで幅広い素材へと対応。金属もアルミや真鍮といった軽金属まで多彩にカバーします。

彫刻の方法も、表面を美しく仕上げていく2次元的な手法に加え、立体的、つまり3次元の表現も可能なため、今回のカイロのように形状自体が湾曲なものへの彫刻にも対応します。

また、これも本編にあったように、セッティングさえ済めば、あとはプリントキューを出しフロントカバーを閉めておけば、でき上がりまでお待ちいただくだけ。セッティング時も手元のハンディコントローラーで微調整なども簡単に行えるよう使いやすさを徹底しています。これまで彫刻業を主体とされていないお客様も、この省スペースで質感高い仕上がりを実現可能な「EGX-350」を、ぜひビジネスパートナーとしてお選びください。