プリントビジネス成功事例 Vol.2
SPECIAL INTERVIEW
印章材料の問屋が挑むOGBS
(オーダーグッズビジネス)

株式会社シマヅ  島津 恒久 専務

株式会社シマヅ様

[本社]
住所:〒630-8262 奈良市北袋町22
TEL:0742(26)2666 FAX:0742(26)0008

[東京オフィス]
住所:〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2丁目15-1
KSコート201
TEL:03(5295)4185 FAX:03(5295)4186
HP:http://shop.e-name.jp/

事業内容:印章材料用品の卸 デジタル印刷・表札・ウェアプリントの製造卸

OGBS(オーダーグッズビジネスショップ)を始める前は?

大正5年に創業した弊社は、ハンコの材料である印材をはじめ、様々な関連商材を印章店に卸す問屋事業を展開してきました。
OGBSへの取り組みは早く、約35年前にオフセット印刷機を設備して、印章店向けに年賀状印刷の下請けや年賀状デザインの提供などをはじめました。印刷のカラー化にもいち早く着手し、フルカラーのレーザープリンターがまだ珍しい頃から先駆けて導入。中小規模の印章店が扱いやすいように年賀状や名刺受発注の仕組みを整え、カラー化を推進して、販売単価アップを実現しました。
しかし、バブル崩壊後は以前ほど印章店で年賀状が売れなくなり、注文は縮小傾向。また、世の中のIT化が進んだことで、ゴム印など印章関連商品の注文が減り始めたんです。

オーダーグッズビジネス(OGBS)とは
印刷、印章、スタンプ、メモリアルグッズ、レーザー加工、ウエアプリントなど様々な加工グッズを多角化に製造販売する、新時代の加工ビジネスです。ショップの店頭やインターネットサイトを通じて消費者からの注文を受けてから、名入れ印刷やオリジナル彫刻をおこない販売する受注加工スタイル。単純物販と違い、加工技術と設備が必要なため、大企業に参入されにくく、しかも加工手間賃のぶん利益率が高い……これから有望な製造小売業の新形態です。

OGBS(オーダーグッズビジネスショップ)のスタート当初は

業績アップを図るため、本格的なOGBSに取り組み始めたのは2006年です。ある展示会で厚物プリンターを見たのがきっかけで、最初は印材や印章ケースへの厚物プリントを考えていましたが、実際に使ってみると様々な用途があることに気が付きました。フルカラーで多様な商材に1つからプリントできる……。これは新しいビジネスになると考え、「ドコプリ」というサービスを始めました。
「ドコプリ」は多様な商材に「1つ」からプリントすることで、「オンリーワン商品」を作るというサービスです。パズル、マグカップ、ゴルフボールなどの小物商材からウエアプリントまで、様々な商材と設備を揃え、小売店が気軽に注文できるように体制を整えました。小売店が店頭でこうした商材を消費者に提案し、弊社がプリントを下請けする、というスタイルです。
厚物プリンター以外にも、ゴム印彫刻用に導入していたレーザー加工機を活用することで、木札などのお名前ストラップやトロフィー、バッグタグなどのレーザー加工商品も扱うようになりました。

OGBSの推移と現状

さらに最近ではローランド ディー.ジー.の厚物UVプリンター「LEF-12」を導入したことで、厚物プリントの幅が広がり、スマートフォンケースなどの下請けもスタートしました。
いずれの商材も、ただ下請けする立場ではなく、ディスプレイやサンプル帳などを豊富に用意し、販促キットも作りました。これを置くだけで、小売店が簡単に新しい商材を扱うことができるように工夫したのです。
2009年からは、様々な商材に「名入れ」することをコンセプトにした総合カタログ「なまえやカタログ」を作りました。名刺、年賀状、封筒、ハンコ、ゴム印、木札、トロフィー、名札から、ゴルフボールやライター、携帯灰皿への名入れ、スマートフォンケース、マグカップ、のれん、表札、トランプ、パズル、各種ウエアプリント…など、3600以上のアイテムをそろえたカタログです。小売店はこのカタログを得意先に配るだけで豊富な商材への名入れが提案できるようになり、営業しやすくなるというツールです。もちろん、これらのプリント下請けは弊社が全て内製しています。

これからOGBSを始める人へ

OGBSをはじめる最初の一歩は「まず受注窓口に徹すること」

この「なまえやカタログ」の発行と同時に、同じ名前のサイトも立ち上げました。ここではカタログに掲載されている商品全てがあり、商材に名前を入れたプレビュー画像などが表示されるようになっています。
「なまえやカタログ」とサイトを併用することで、小売店がより扱いやすい、提案しやすいように工夫しています。
こうした様々な商材をイチから仕入れ、製造設備まで導入して事業展開していくには高いリスクがつきまといます。そこで、OGBSをはじめる最初の一歩は「まず受注窓口に徹すること」。店頭で注文を受けられる体制を整え、製造は外注に出す。このやり方で一定の売り上げが上がるようになってから、次のステップとして製造設備を導入する。これを繰り返すことで、低リスクでビジネスの幅を広げられると思います。

オーダーグッズビジネス(OGBS)は、日本の中小企業に吹き込む2つの風によって生まれました。
ひとつは向かい風です。大企業が安い労働力を求めて製造拠点を海外に移したため中小製造業向けの仕事は減り、小売業はナショナルチェーンの看板に商圏を浸食されています。ところが、消費者の志向というもうひとつの風はそれとは逆向きに吹いています。大企業が世に出す大量生産品では満足せず、オリジナルやオンリーワンを求める消費者が増えているのです。
そこで、国内に残った日本の優れた加工能力を活かし、消費者へオリジナルなアイテムを提供する……それがオーダーグッズビジネスです。
その世界は多種多彩。千変万化する消費者ニーズと作り手のアイディアで様々なアイテムが生まれていきます。クラスTシャツやネームプレート、オリジナルスマートフォンカバー、顔写真入りIDカード、オイルライターへの名入れ、クリスタルのトロフィーなど。それらは小ロットなため手間がかかりますが、UVプリンターやレーザー加工機といった最新のオンデマンド機器がその手間とコストを解消してくれます。むしろ小ロットであるが故に、大企業が参入しづらく、利益率が高いのが特長です。すなわち、ニッチでリッチな新しいビジネスなのです。
現在、オーダーグッズビジネスに取り組んでいるのは、印刷、看板、DPE、印章、合い鍵業者などが中心です。彼らは、いままで専門業としてやってきましたが、それ単体では売上げが維持できない流れの中で、自社に関連する様々な商材を多角的に取り込んでいき、新しいスタイルに姿を変えたのです。それは奇異でも苦し紛れでもありません。例えば、かつての酒屋やパン屋がコンビニに姿を変えたように、薬屋と化粧品店がドラッグストアに融合したように、時代の風に乗った進化なのです。 OGBSマガジン 編集長  真子 しげる